17 Dec 2009
昨日の研究会で私が発表した論文は,米国において子どもの身体活動量を増加させようとするVERBキャンペーンに関するものでした.VERBキャンペーンは,早期からの肥満予防を目的として,9-13歳の子どもを対象にして米国疾病対策センターが立ち上げた健康増進行動のキャンペーンです.verb(動詞)というキャンペーン名は,動詞形の中に,いわゆる「動く」ことに関連する単語が7000語もあるということで名付けられました.私が今回読んだのは,このキャンペーンのブランド化をどのように開発してきたかという内容でした.以下,論文の中にあったブランドの説明です.
・ ブランドとは,ある売り手が持っているグッズやサービスを他のグッズやサービスと差別化させることを目的にして,その特徴を示すラベル,サイン,シンボルである.
・ ブランド化は,消費者にその製品のアピール度を高めるように特別にデザインされており,肯定的な属性や特徴を製品に染みこませる過程である.
・ 会社は,ブランドを作ることによって,その製品が消費者にどのように考えさせたいか,消費者がブランドのロゴ,名前,メッセージを見るとき,あるいはそのブランドを体験するときにどのように感じるかを明確にしている.
・ ブランド化のアプローチは,全体のブランドを伴うように,製品やサービスについて多様な属性を持ち,広告する側が多様に異なるメッセージを通して,異なる製品の形を目立たせる試みがなされている.
・ コマーシャル・マーケッターは,ブランドと消費者との間に関係を築くことを通して,消費者が製品に深く関わらせ,感情的なつながりを作り出すことができる.
・ ブランドへの親しみは,消費者に製品へのロイヤルティと繰り返し購入させる導く.
私は,本質的にきらきらと光り輝くブランドが好みではないのですが,実はTimberland(ただし,ブーツは除く)というオーソドックスな感じのするブランドのファンです.上記のブランドについての記述は,あまり考えたことがなかったブランドの効用について,ははーん,そうだなと感心して読んでしまいました.あるブランドを好きな人同士は,感情的に共有する気持ちはあると思います.Tibmerlandを好きな人は,この「しぶいブランド」について何か同じ特徴を共有しているような気になっていました.でも,お店に行って,明らかに好みの違う人が商品を買ってるのを見て失望するときもあるので,本当にそうなのかなと.
さて,商品を売って帰結するブランドの魅力は,健康行動においてはどうなのでしょうか.健康行動には商品のように売れる物は存在しません.行動を始めてもらい,継続してもらうことが,物を売ることに相当します.VERBキャンペーンでは,ロゴを用いた様々なグッズも利用して,物のない商品である行動を人々に取らせようとしています.
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