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東京都特定健診・保健指導事業従事者養成研修

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平成21年度東京都特定健診・保健指導事業従事者養成研修:保健指導スキルアップ研修「実践に活かす行動変容の知恵:制度に基づくマニュアル化アプローチからの脱却」

11月2日10時-17時に1回目の研修,そして昨日12月14日10時-17時に2回目の研修を行い,合わせて上記スキルアップの研修を終了しました.50名弱の参加者があり,主に会社の健保におつとめの保健師・管理栄養士さん,次に自治体の保健師・管理栄養士さん,アウトソーシング機関にお勤めの保健師・管理栄養士さんが参加されました.

昨年度,研修講師を行った後で,実は特定健診・保健指導事業の制度に乗っ取った研修を行うのはもううんざりですということを申し上げました.私は特定健診・保健指導の「研究」を行っているわけではないと.そして,新しいタイプの研修を提案しました.制度に乗っ取ったモデルや見本は,実はいいようで,結局のところマニュアル化を助長し,一律のやり方を押しつけるだけで現場のアイデアを奪うことになってはいないか,また「うちはやってまっせ,効果ありまっせ」という商業ペースの売り込みも眉唾ものでどうも信用できず,結局は保健師さん,管理栄養士さんの創造性や工夫を助長するような研修をしないと,それぞれの現場の特徴もニーズも違うのにどうにもならないと思っていました.タイトルの「実践に活かす行動変容の知恵:制度に基づくマニュアル化アプローチからの脱却」もちょっと過激かなとは思いましたが,これに反応する人も私と同類の人だったらよいのになあと・・・.腕のよい専門職とは,ベースになるようなものを持っていながらも,相手の特徴や状況に合わせたり,相手におもいしろい,やってみようと思わせる仕掛けができるかにかかっていると思っています.健康づくりや生活習慣病予防に関わる行動はどれもおもしろいものではないからです.エビデンスも実践を始めて,また続いて初めて成立するものなので,始めさせるアプローチと続けさせるアプローチも分けて捉える必要があります.

というわけで,11月の研修では行動変容の基本的な考え方や理論・モデルについて解説し,主にポピュレーションアプローチを行うための材料を提供しました.その後,希望のテーマごとに11のグループを構成し,場所も職場も違う者同士がプログラムの開発を行い,12月14日の研修の前半には,それらのプログラムをpptを用いて発表してもらいました.忙しい日々に,また地理的に集まるのが難しい中,それぞれのグループはそれぞれがユニークな内容を発表してくれました.また,いろいろと異なる発表を皆さんで共有することで,お互いが刺激を受け,次につながるヒントがうまれていることと思いました.昨日はその後,主に午後いっぱいを使って個別対応の方法として,行動変容ステージ,バリア要因の除去,短期目標などを使った短期的なコンサルテーション実習,続いて行動計画のたて方,最後に動機づけ面接法についてロールプレイを中心に実習を行ってもらいました.結果的に,うまい保健指導につながればよいと考えますし,実際,個人にだけ働きかけてもだめで,個人と同時に集団に働きかけないと効果は得られません.ポピュレーションアプローチと個別対応がうまく協働してはじめて効果がでてくるのだと思います.

今回の参加者からプログラム開発について「聞いてないよ」という不平不満も感じながらの実施でしたが,皆さんは行ってみて,「つかえる」研修になったのではないかと思いました.今年はこれで外仕事は終わり,年内いっぱいは原稿書きと卒論・修論指導に集中しなければいけません.

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以下の動画は,早稲田大学応用健康科学研究室(代表:竹中晃二)が製作したものです。イベントなどでお使いの場合は,その旨を明示してお使いください。

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