17 Sep 2019
私たちが関係するシンポジウム2件が,9月28日の午後と29日の午前中に開催します。
健康情報の伝え方
「わかった」を「やってみよう」に変える工夫
企画者 大野太郎(大阪人間科学大学)
司会者 上地広昭(山口大学)
話題提供者 細井俊希(埼玉医科大学)
話題提供者 島崎崇史(上智大学)
話題提供者 上地広昭(山口大学)
話題提供者 飯尾美沙(関東学院大学)
指定討論者 竹中晃二(早稲田大学)
保健医療分野で働く専門家は,専門職としての自身の仕事の他,患者へのお知らせ,地域,職域,学校において健康関連行動を促す情報(広報誌欄の作成や各種のチラシ,健康関連行事への誘い)の提供をおこない,また最近ではwebsiteなど電子版などによって健康教育に関わる資料を作成している。そのような資料の目的は,人々に対して,健康,薬,医療手続きについて伝えたり,健康的な選択を行うように説得したり,健康関連の行動パターンを変容させる支援をおこなうことである。しかし,我が国では,これらの情報提供による効果を高めるために,書面やwebsiteの資料の作り方を「工夫する」という発想が乏しく,単に医療情報を提供するにとどまっている。まして,効果を高める資料づくりは,経験的な情報に頼っており,根拠に基づく資料づくりについては,ほとんどおこなわれていないのが現状である。
本シンポジウムでは,健康情報の受け手が「わかった」を超えて「やってみよう」と思える『工夫』について議論する。本シンポジウムの話題提供者は,訳本「行動変容を促すヘルス・コミュニケーションー根拠に基づく健康情報の伝え方ー(C. Abraham & M. Kools編:北大路書房)の各章分担者であり,それらの情報をもとに,それぞれのテーマで話題提供を行う。
健康行動介入におけるアドヒアランス強化のためのサプリメント
ー実践意図(If-then plans),行動計画(Action planning),および対処計画(Coping planning)ー
企画・司会者 竹中晃二(早稲田大学人間科学学術院)
話題提供者 尼崎光洋(愛知大学地域政策学部)
話題提供者 三浦佳代(埼玉医科大学保健医療学部)
話題提供者 吉田 椋(早稲田大学人間科学研究科)
話題提供者 竹中晃二(早稲田大学人間科学学術院)
指定討論者 森 和代(桜美林大学名誉教授)
健康心理学における大きな魅力の一つは,基礎研究と応用研究の融合であり,研究で培った知見を介入としてリアルワールドで活かすことである。健康心理学では,疾病管理,疾病予防およびヘルスプロモーションを目的にして,地域,職域および学校など様々な場において,食事,運動,喫煙,ストレスなどの介入研究が行われてきた。健康行動を促す介入で効果をあげるためには,行動の継続性,すなわちアドヒアランスをいかに高めるかが鍵となる。しかし,これらの介入研究では,実際に,思うほどに人々の関心を高めることができず(動機づけの不足),また人々に行動意図が存在したとしても実践に結びつかない場合(意思—行動のギャップ)も見られている。
本シンポジウムの目的は,健康行動介入におけるアドヒアランス強化を目的として, 2種類の計画作りを介入補強の役割として紹介する。計画づくりには,If-then plansとして知られている実践意図(Implementation Intention: Gollwitzer, 2014)があり,あらかじめ定めた状況・場面Xに遭遇するとYの反応を行うということを決めておくことで行動変容の自動化が推進される。また,Health Action Process Approach(HAPA: Schwarzer, 1992)においても,先の実践意図の形成と同じように,実行計画(Action Planning)が組み込まれている。HAPAでは,実行計画に加えて,行動を妨げる妨害要因をあらかじめ想定し,その対処計画(Coping Planning)をあらかじめ作成しておくことも奨励されている。
本シンポジウムでは,最初に実践意図について,そしてHAPAの計画について概略を紹介し(尼崎光洋),(1)脳卒中患者の社会活動強化を目的とした介入(三浦佳代),(2)メンタルヘルス問題の予防を目的とした自助方略介入(竹中晃二),および(3)高血圧者の血圧低下を目的としたInternet介入(吉田椋),のそれぞれ異なる健康行動の介入におけるアドヒアランス強化を目的として,これらの計画の適用例を紹介する。
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