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action planという行動変容のツール

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梅雨のまっただ中で,蒸し暑い日々が続きます.こういう時は,練馬区の通信ウオーキングのことが気になります.というのも,参加者にとって,悪天候は「歩く」という行動を妨げるもっとも大きなバリア要因となるからです.「どうぞ皆さん,今こそ,行動変容の力が試されるときですよ,室内での代替活動や場所を選ぶ,階段利用を多めになんて,ニューズレターでお知らせしている方略についてどうぞ思い出してくださいね」と心の中で祈っています.

さて.先日から目標設定について集中して調べています.目標設定は,行動契約,セルフマネジメント,問題解決法などと関連する行動変容の技法ですが,最近はaction plan(行動計画)という用語で,糖尿病や心疾患の患者さんに対して行動を変える短期のカウンセリングの中で用いられています.action planをたてるには,次の5要素に注意しておく必要があります.
1)action planは患者さん自身が内容を決定するものであって,指導者はアドバイスを与えるとしてもその決定者ではない.
2)action planは,行動内容についての設定であって,成果や結果ではない.
例えば,5キログラム減量するというのではなく,週に3回,1日につき10分間のウオーキングを行うなどの行動プランです.
3)action planで対象となる行動は,何で,それをどのように,いつ,どこで行うかを明確にする.
4)患者さんは,action planについて成功できるだろうという自信を持つ必要がある.
患者さんにとって,毎日行うというよりは,週に3日なら「できそうだ」というセルフエフィカシーが高い行動を選ばせる,また想定できるバリア要因を解決する問題解決法の適用を含みます.
5)action planは短期間(例えば,1週間や2週間)で行えることで,同じ行動を継続したり,追加的な行動変容を行う決定がその後に行われる.
要は短期的で具体的,「できる」可能性が高いと本人が思える行動を成功させて,次の短期目標を次々と決めさせていくということです.

考えてみたら当たり前のことですが,従来の患者さんへの面接では,特に医療従事者が指示を与えたり,脅しをかけたり,権威(最近は効き目がないですが)でプレッシャーをかけますが,もともと敷居の高い行動目標は患者さんにとっては実践できそうにありませんし,私たちの動機づけはどうも長持ちしません.一見,患者さんはかしこまって聞いているので,医療関係者は当然やってくれると期待するのですが・・・.

おもしろいことに,action planには必ず電話などのフォローアップが必要だということも解説にはでてきます.保健指導などは,その典型ですが,どうも私たちはマニュアルに頼りすぎて,ものの本質を見ていないようです.制度に合わせたマニュアルではなく,ものの本質を見抜くためのマニュアルが必要なのでしょうね.

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以下の動画は,早稲田大学応用健康科学研究室(代表:竹中晃二)が製作したものです。イベントなどでお使いの場合は,その旨を明示してお使いください。

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