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最近考える行動変容の方法:うまいaction planの作り方と生理的喚起

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一昨日,講義を終えてからすぐに高松に向かい,1泊してから香川県看護協会の研修を行って昨夜帰ってきました.最近は,保健師さん,看護師さん対象の研修依頼が結構あります.皆さん,健康相談,患者教育,また療養時における指導に,従来の知識伝達・指示型とは異なる「新しい視点」を求めていることがよくわかります.行動変容だけで100%うまくいくかと言えばそうではないのですが,少なくとも行動の継続が生活習慣病関連の治療や教育の効果を決めるために必要な課題だと考えます.しかし,それぞれの状況や事情,環境に合わせて適用しないことには,「やったけどうまくいかないわ」となって,「行動変容の向く人と向かない人がいるのですか?」なんていうおかしな質問がでてきます.行動変容は,単に技法や理論・モデルの適用だけでなく,相手の行動を意図的に変えていこうというのが目的なのに,できていないのは表面的なことに囚われていて工夫がないとしか言えません.

最近,意識して取り組んでいる内容は,action planの作り方です.『実行可能な行動』のプランを患者や対象者と一緒になって作成していく方法を具体的にどのように行っていったらよいかを考えています.研修会などでも少しずつは紹介しています.1つは大学の近くのNS病院栄養管理室と共同で開発しようとしている冊子プログラムです.患者さんと管理栄養士が「交換日誌」よろしく,冊子の内容に従って日常の食事管理を行っていけるように,まずは現実的なaction planを立て,セルフモニタリングを行わせながら,次の来院時に冊子を持ってきてもらうというのがイメージです.もう1つは,まだ場所を措定してはいないのですが,コンピュータでaction planを作らせながら,専門職と一緒に話し合って最終的にプリントアウトされた計画書ができあがるというものです.従来,健康相談にしても,食事指導にしても,専門職と患者さんとは向かい合った状態,つまり対面形式で相談・指導を行ってきました.しかし,冊子やコンピュータを用いた相談・指導は,患者さんや対象者と専門職(保健師,看護師,管理栄養士など)がお互いに横に並んで,その前に,冊子やコンピュータ・ディスプレイがあって,それらを見ながら進めていくというイメージを持っています.今後は,開発を早めて,この新しい形の効果を見ていければと思っています.

もう1つ気になっていることは,先日の骨粗鬆症学会イブニングセミナーや臨床動作学会のシンポジウムで考えていたことですが,セルフエフィカシーにおける情動的・生理的喚起にあたる内容が治療の効果を実感させ,そして治療の継続率を上げていけないかということです.薬だけでその実感を持たせられないならば,逆に生活指導をメインにして,まずはよくなっているという実感を持たせながら,同時に薬への偏見を取り去りながら薬の受け入れを良くして続けていくということも考えられます.そうなると,アセスメントしてそれに合わせた投薬していくという治療モデルそのものからの脱却という形になり,しかし時間的余裕感のない骨粗鬆症や生活習慣病の治療にそういうことができるのかという疑問もあります.ただ,うまい情報提供など工夫してできることもあると思います.

来週は,少し大学内の仕事や学生指導に集中し,再来週は保健師対象の東京都の研修と沖縄JICAの研修です.

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以下の動画は,早稲田大学応用健康科学研究室(代表:竹中晃二)が製作したものです。イベントなどでお使いの場合は,その旨を明示してお使いください。

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